はじめに
「ITにどれだけ予算を割くべきか?」——これは多くの中小企業経営者が悩むテーマです。IT投資は単なるコストではなく、業務効率化や競争力強化のための“戦略的な資源”です。この記事では、JUASとIPAの調査データをもとに、IT予算の適正額とその考え方を解説します。
IT予算の目安は「売上高の1〜3%」
JUASの「企業IT動向調査2024」によると、日本企業のIT予算は売上高の約1.3%が平均値とされています。一方、米国や欧州では3%前後が一般的で、日本企業は依然としてIT投資が控えめな傾向です。
業種別では以下のような差があります:
業種 | 売上高に対するIT予算比率 |
---|---|
金融・保険業 | 約5.7% |
製造業 | 約1.2% |
卸売・小売業 | 約0.8% |
中小企業の場合は1%未満のケースも多く、競争力強化の観点からは最低でも1%以上を確保することが望ましいとされています。
IT予算の内訳と重点領域
JUASの調査では、IT予算の約8割が既存システムの維持管理に使われているという傾向が続いています。これは「守りのIT投資」が中心であり、「攻めのIT投資」へのシフトが課題となっています。
守りのIT投資(維持・効率化)
- PC・ネットワーク・セキュリティ環境の整備
- 会計・勤怠・顧客管理などの業務ツール導入
- クラウドサービスの活用によるコスト最適化
攻めのIT投資(成長・差別化) - BIツールによるデータ活用
- 顧客向けアプリや予約システムの開発
- AI・IoTによる業務自動化や新サービス創出
実務的な予算設計ステップ
- 現状課題の洗い出し(業務ヒアリング)
- 優先度に応じたツール選定(費用対効果分析)
- 補助金活用の検討(IT導入補助金など)
- KPI設計と進捗モニタリング
まとめ
- IT予算は「売上高の1〜3%」が目安
- 守りの投資から始め、攻めの投資へと段階的にシフト
- JUASの調査では維持管理費が8割を占める傾向
- IPAの資料では費用対効果と成果重視の投資が推奨されている
- 補助金やクラウド活用で初期投資を抑えつつ、ROIを最大化
【参考にしたサイト】